忘れられない、あの夏の日……。
九回裏。ツーアウト満塁。
俺はマウンドを一年生の後輩に譲った。
そして四年。大学四年生になって、日々の生活に追われる毎日の中で、あの日を境に変わってしまった自分と、そしてプロ野球のスターになったその後輩を比べては、諦念の笑みを浮かべる。
諦めてしまった未来。流れついた現実。やるせない想いと、どうしようもなかったんだと慰める言葉。この苦しさは、一体何を裏切ったせいなのか。
胸を張って、答えられる自分になりたかった。「野球が、好きだ」と。
Million Meansの個人誌第5弾。
小熊善之が送る青春野球ファンタジー。
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